「毎年何回も草刈りしてるのに、すぐ伸びてきてキリがない…」
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。実はその原因、地面スレスレまで刈り込む「地際刈り」にあるかもしれません。やはり雑草を根絶やしにするには地面ギリギリから雑草を刈ってしまうものだと思ってしまいがちですが、実はそれ逆効果だったりするんです。
管理人は元ホームセンター系の農業資材店で勤務しており、草刈機や刈払機のアタッチメントを日常的に扱っていました。様々な農機具メーカーさんから高刈りにすると草刈りの回数が減りますよと言われても信じがたかったです。ただ理由などを聞いて確かに!と思いました。今回はメーカーさんやお客さんの声を元に、高刈りの効果・やり方・おすすめ道具まで一気に解説していきます。
この記事でわかること
- 高刈りとは何か、従来の草刈りとの違い
- 高刈りで得られる3つの効果(雑草抑制・害虫対策・労力軽減)
- 高刈りの具体的な方法と作業のコツ
- 高刈りにおすすめの道具・アタッチメント
- 高刈りの効果を最大化するための作業スケジュール
高刈りとは?従来の草刈りとの決定的な違い

高刈りとは、簡単に言うと
地上5cm〜10cm(場合によっては15cm)の高さを残して草を刈る
方法です。従来の「地際刈り」が地面スレスレまで刈り取るのに対し、あえて草の根元を残すところが最大の特徴になります。
それでは理由を説明していきます。
高刈りをする理由
高刈りをする理由は一言で言うと
イネ科の雑草の生長を抑えるため
です。詳しく説明します。
高刈りのカギを握るのは、雑草の「成長点」の位置の違いです。イネ科雑草(メヒシバ、オヒシバなど成長が早い厄介な雑草)は、成長点が地面近くの低い位置にあります。一方、広葉雑草(シロツメクサ、カタバミなど)は成長点が比較的高い位置にあります。
地際までガッツリ刈ると、すべての雑草が一度リセットされますが、成長点が低い位置にあるイネ科雑草は生き残りやすく、真っ先に伸び返してきます。結果的に、刈れば刈るほどイネ科雑草が猛威を振るいやすい状況を作ってしまっています。
高刈りでは、5〜10cmの高さで刈ることで広葉雑草の成長点を温存し、生き残った広葉雑草が地面を覆って日光を遮ることで、イネ科雑草の再発生を抑え込むという効果が期待できます。
つまり、これが高刈りが効果的とされる最大の理由となります。
高刈りの効果は3つ|雑草抑制・害虫対策・作業負担の軽減

高刈りの効果は、単に「草刈りが楽になる」だけではなく3つの効果があります。それが
高刈りのメリット
- イネ科雑草を抑制
- カメムシなどの害虫対策
- 作業負担軽減
となります。説明していきます。
イネ科雑草の発生を抑制できる
上でもお話したとおり、高刈りを続けることで広葉雑草が先に成長し、成長の早いイネ科雑草を自然に抑え込めます。実際に5cm刈った場所に比べて、10~15cm刈った場所がイネ科雑草がほぼ生えてこなかったというデータもあります。
また地際刈りでは年4〜5回必要だった草刈りが、高刈りに切り替えたことで年3回で済むようになったという話もありました。もちろん環境によりますが、効果は期待できます。
カメムシなどの害虫発生を抑制できる
水田農家さんにとって、特に近年深刻な問題が、カメムシによる斑点米の被害です。カメムシはイネ科雑草を住処にする習性があるため、高刈りでイネ科雑草を減らすことが直接的なカメムシ対策になります。
さらに、広葉雑草が増えることで、カメムシの天敵であるクモやカエルの生息環境が整います。つまり生態系環境を作り出すことで、高刈りを導入した地域ではカメムシの発生密度が下がったという事例もあります。
近年流行りの薬剤に頼らない害虫対策としても、高刈りはかなり注目されています。
作業者の身体的負担が激減する
これが一番重要ではないかと思っています。高刈りをすることで
身体へのメリット
- 腕や腰への負担が減る
- 作業時間の短縮
- キックバックや怪我の防止
- 精神的にも楽
という作業者自身の負担を減らせます。詳しく説明すると、
地際(地面すれすれ)の草の茎は太くて硬く、刈る際の抵抗感が強いため体に大きな負担がかかります。一方、高刈りでは草の上部の柔らかい部分を刈るため、少ない力でスムーズにスイングでき、腕や腰への負担が減り、結果身体のためにもなります。
また、楽に草が絡まることなく刈れるため、刈払機の左右のスイングなどが容易になり作業効率が上がります。結果として作業時間が大幅に短縮され(半分の時間で済むケースもあります)、長時間の作業による疲労を抑えることができます。
地際刈りでは土中の石や障害物に刃が当たりやすく、刃が大きく跳ね返る「キックバック」や、小石が飛散して顔などに当たる危険が伴います。ですが、高刈りでは刃が地面から離れているため、これらのリスクが激減し安全に作業できるという利点があります。
ということはつまり、障害物や石に刃を当てないよう常に集中し、緊張感を持って作業する必要がなくなるため、精神的な疲れも大きく軽減されます。
正直ここまで来ると高刈り一択のような感じもありますよね。ただもちろんデメリットもあります。
高刈りのデメリット

「じゃあ高刈りだけしよう」と安易に考えるのも実はNGで、環境や状況によっては以下のようなデメリットや注意点が存在します。
高刈りのデメリット
- 見た目があまり良くない
- 広葉雑草がないとできない
- イネ科雑草以外には効果なし
- 即効性はない
- ヘビなども隠れられる
- 人によっては草刈り頻度が増える
というものがあります。説明していきます。
地面すれすれで刈り取る地際刈りと違い、高刈りでは常に10cm程度の草が残ります。そのため、刈り終わった後の「スッキリとした達成感」はありません。近隣の人から「草刈りをしていない」「手抜きをしている」と誤解されるかもしれないので、結果雑草が長い気がしたり生長が早い気がして、短く刈り込んでしまい高刈りでなくなったり頻度が増えてしまいます。
そして高刈りは「広葉雑草の葉で日陰を作り、イネ科雑草の成長を抑える」というものです。つまり、そもそも広葉雑草が全く生えておらず、イネ科雑草ばかりの場所で高刈りをしても、全く効果がありません。このような場合は、地際刈りや除草剤でなどの対策が必要です。
また、イネ科雑草が抑制された分、セイタカアワダチソウなどの外来雑草や、マメ科のクサネムといった別の雑草が繁茂してしまう可能性があります。さらにクズやカナムグラなどの強力な「つる植物」は、10cmの高さで刈ってもすぐに周囲を覆い尽くしてしまうため、高刈りだけでは対応が困難です。
高刈りによって環境が広葉雑草優位に変化し、「草刈りの回数が減った」と明確な効果を感じられるまでには、少なくとも1年から数年単位の継続が必要です。すぐに結果が出るわけではないため、根気よく続ける必要があり、草丈が常に残る環境は、害虫を食べてくれるクモやカエルなどの益虫にとって良い棲み処になりますが、同時にマムシなどの人に危害を及ぼすヘビにとっても隠れやすい場所になります。作業の際は、足元に十分注意する必要があります。
高刈りを成功させるには、こうしたデメリットを理解し、土地の雑草の種類(植生)に合わせて、高刈りと地際刈りを使い分けることが大切になります。それでは高刈りのやり方についてお話していきます。
高刈りの方法|具体的なやり方と作業のコツ

高刈りの効果を最大限に引き出すには、正しい方法で実践することがなによりも重要です。高刈りといえど草刈りなので、刈払機で刈っていくのですが、以下のポイントがあります。
高刈りのコツ
- 雑草の高さは5~15cm
- 年3回が目安
となります。お話していきます。
刈り高さの目安は地上5〜10cm
基本の刈り高さは地上5〜10cmです。慣れないうちは10cm程度を目安にするのが安全です。地際刈りに慣れている方は最初「刈り残しが気になる」と感じますが、2〜3回続けると広葉雑草が地面を覆い始め、見た目も落ち着いてきます。
ただ上でもお話したように5cmでは効果がでなかったという事例もあるので、環境に合わせてになりますが、大体平均10cmで行うのがおすすめです。
作業のタイミングは年3回が目安
高刈りの作業時期は以下の年3回が基本スケジュールになります。それが
高刈りをするタイミング
- 6~7月
- 9~10月
- 11~12月
の晴れて乾いた日で風がない、または弱い日がおすすめです。
1回目は6〜7月で、梅雨明け前後の草の勢いが最も強い時期に最初の高刈りを行います。2回目は9〜10月で、秋口に再度伸びた草を整えます。稲作農家さんの場合はカメムシ対策として出穂前のこの時期が特に重要です、逆に出穂後だと逃げ場を失ったカメムシが稲に飛んでいきます。3回目は11〜12月で、年内最後の刈り込みを行い、翌春の雑草発生を抑えます。
高刈りは長い目で見ることが重要です。
他にも高刈りというわけではありませんが、草刈り作業として、作業効率を考え
- 傾斜地は下から上へ向かって作業
- 刈った草は乾かして水分を抜いてから処理
といった注意点もあります。
高刈りにおすすめの道具・アタッチメント
高刈りの効果を安定して発揮するためには、道具選びが重要です。特に人気のあったおすすめの道具はジズライザーHIGH50というものでした。
草刈りの刈払機のアタッチメントとして人気のあるジズライザー。地面をすべらせながら刈払いできるようになる負担軽減系のアイテムですが、その中でも高刈りに特化したものがあります。それがジズライザーHIGH50です。これは草刈機の刈刃の下に装着する安定板で、地面に当てながら刈ることで自動的に約5cmの高さをキープできます。
ジズライザーを使うと刃が地面に当たらないため、チップソーの寿命が伸びるとのことでした。草刈り初心者が刈り高さを安定させるための必須アイテムと言えます。
まとめ
では本日のまとめです。
本日のまとめ
- 高刈りとは地上5〜10cmの高さを残して刈る方法で、広葉雑草を活かしてイネ科雑草を抑える植生コントロール技術
- 効果は「雑草抑制」「害虫(カメムシ)対策」「作業者の身体負担軽減」の3つ
- 年3回(6〜7月・9〜10月・11〜12月)の高刈りで草刈り労力を大幅にカットできる
- おすすめ道具はジズライザーHIGH50(安定板)
- 高刈りの効果実感は長い目で見る
「毎年の草刈りがしんどい」と感じている方は、次の草刈りからぜひ高刈りを試してみてください。まずはジズライザーを装着して、刈り高さ5〜10cmをキープするところから始めるのが一番確実です。1シーズン続ければ、草刈りへのストレスが確実に変わります。