果樹資材

ぶどうの雨除けの必要性と資材選びから自作まで元資材屋が解説

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「せっかく実ったぶどうが、雨のあとに次々と腐ってしまう」「収穫間近で粒が割れてしまった」——こんな悔しい思いをした方は多いのではないでしょうか。実はぶどうは本来、乾燥した気候を好む果樹です。日本のような多雨・多湿の環境では、雨対策をするかしないかで、収穫量も品質も天と地ほど変わってきます。

はじめまして、管理人です。元ホームセンターのような農業資材店で働いていた経験があり、在職中はぶどう棚用の支柱や被覆ビニールなど数多くのメーカー商品を扱ってきました。その中でメーカー営業さんから直接聞いた現場の裏話や、店頭で果樹農家さんから相談された生の声をもとに、「ぶどうの雨除け」について必要性から具体的なやり方、おすすめ資材、自作の方法まで、まるごと解説していきます。

この記事でわかること

  • ぶどうに雨除けがなぜ必要なのか(病害・裂果のメカニズム)
  • 雨除けで得られる具体的な防除効果と品質向上のデータ
  • ワンタッチトンネルやトンネルメッシュなどおすすめ資材の特徴
  • 雨除けの設置時期・撤去時期など正しいやり方
  • 単管パイプや樹脂パイプを使った自作(DIY)のポイント

ぶどうの雨除けはなぜ必要なのか

まずはなぜ、ぶどうの雨よけが必要なのか知っておきましょう。ぶどう栽培において雨除けは「あったほうが良い」程度のものではなく、安定生産のために不可欠な設備です。

その理由は、

ぶどうの最重要病害の多くが「雨で広がる」性質を持っている

からです。実は雨滴が病原菌の胞子を運び、感染を一気に拡大させてしまうため、物理的に雨を遮ることが最も効果的な防除手段になります。

資材屋では農家さんがぶどう棚を新設するときによく相談されたのが、この雨除け資材でした。それだけ現場では「降雨リスク」が深刻だということです。

雨で広がる主要な病害

ぶどうを悩ませる病害の代表格が、以下の雨媒介性の病気です。

ぶどうの主な病気

  • 晩腐病(おそぐされ病):ぶどうの最重要病害。雨で胞子が飛散し、成熟期に果実を腐らせる
  • べと病:葉裏にカビが発生し、落葉を招いて光合成を阻害する
  • 灰色かび病:開花期の降雨で感染し、花穂や果実を軟化・腐敗させる
  • 黒とう病:新梢や葉、果実に黒い斑点を生じさせる

特に晩腐病は「一度発生すると薬剤だけでは抑えきれない」厄介な病気で、雨除けによる予防が何より重要だとのことです。

裂果とブルーム消失という品質低下

病害だけではありません。成熟期のぶどうが雨に当たると、果実が水分を吸って膨張し、果皮が耐えきれずに割れる「裂果(実割れ)」が起こります。これは巨峰やピオーネといった大粒品種で特に目立ちます。

さらに、果実表面の白い粉「ブルーム」も雨に濡れると流れ落ちてしまいます。ブルームは鮮度の証であり、これが失われると見た目の商品価値が大きく下がってしまうのです。

雨除けでどれだけ効果があるのか

雨除けの防除効果は数字で見ても極めて高く、特に「簡易雨よけ」と「袋かけ」を併用すると最大級の効果が得られます。

なぜなら、単独の対策では防ぎきれない感染経路を、複数の手法を組み合わせることで二重三重に塞げるからです。農家さんも「雨除けだけで十分?」と疑問に思うそうですが、実際のデータを見るとその答えがはっきりわかります。

巨峰における晩腐病への防除効果を比較すると、以下のようになります。

処理方法防除価(%)特徴・留意点
簡易雨よけ + 袋かけ98最高の防除効果。べと病・黒とう病にも有効
傘かけ + 袋かけ95簡易雨よけが難しい場合の有力な代替策
傘かけのみ81ロウ引き傘で雨滴を排除し一定の効果
袋かけのみ53潜伏感染を防ぎきれず効果は限定的
簡易雨よけのみ52被覆撤去後の後期感染リスクが残る

この表を見るとわかる通り、「簡易雨よけ+袋かけ」の組み合わせは防除価98%という驚異的な数字です。一方で、袋かけだけ・雨除けだけといった単独対策では50%台にとどまります。実例でも、雨除けと袋かけをセットで導入してから腐敗果が激減したという声が多くあります。

雨除けは病害を防ぐだけでなく、着果率の向上、果粒の肥大、糖度の蓄積といった品質面のメリットももたらします。

ぶどうの雨除けにおすすめの資材

栽培規模や手間のかけ方によって最適な資材は変わりますが、近年は「省力化」と「高機能」を両立した製品が主流になっています。

果樹農家さんの高齢化が進む中で、設置や着脱の手軽さが資材選びの大きな決め手になっているからです。資材屋で扱っていた経験から言うと、ここ数年で「取り付け金具が要らない」「軽くて女性でも扱える」といった商品ができはじめて一気に人気が出ています。

ワンタッチトンネルやトンネルメッシュは組み立ての必要がありますが、簡単に組み立て方を説明すると

組み立て方

  1. ワイヤー(針金)を張る 事前に、天井部分の「天井線」1本と、アーチの両足元を固定する「取り付け線」2本の、合計3本のワイヤーをしっかりとピンと張っておきます。
  2. 支柱の取り付け ワンタッチトンネル支柱の片側の端を、張っておいた取り付け線にクルクルと巻きつけて固定します。 そのまま天井線をまたいでアーチ状にし、反対側の端も同様にもう一方の取り付け線に巻きつけて固定します。反対側と平行になるように確認しながら取り付けましょう。
  3. 天井部分の固定 より強固で安定した構造にするため、支柱と天井線が交差する部分(アーチの頂点)を、「サンクロスクリップ」という専用のクリップで留めて固定します。

設置のポイント

  • 支柱を取り付ける間隔は50〜80cm(平均的には60cm前後)が目安です。間隔を狭くするほど強度と安定性が増します。
  • 強風によるブレを防ぐため、約4〜5m間隔で中間柱を立てて取り付け線を支えるとより安心です。

以前働いていた資材屋で特に人気のあったものをご紹介します。

簡易雨よけワンタッチトンネル支柱(日亜鋼業)

ワンタッチトンネルは、果樹園などで使用される簡易的な雨よけトンネルです。 
ハウスなどの大型施設に比べてとても経済的で、DIY感覚で誰でも簡単に設置・取り外しができます。 

最近では、雨よけだけでなく鳥よけ・日よけなど多目的用途でも活用が広がっており、 果樹園以外の農業現場でもワンタッチトンネルの利用シーンが増えています。 

さらに、間口サイズのバリエーションが豊富で、圃場の広さや樹列間隔に合わせて最適なタイプをお選びいただけます。 
ぶどう やブルーベリー、イチジクなど作物や地形に合わせた柔軟な設計が可能です。 

硬鋼線材を使い、溶融亜鉛めっき処理で耐食性(サビにくさ)を高めています。セットで考えると部品ごとに購入して組み立ての必要がありますが、ワンタッチで取り付け、取り外しができるため作業がしやすく人気です。

最大の利点は、雨天時でも作業しやすく、散布した農薬が雨で流されにくいため効果が持続することです。とても使いやすいと評判で、かなりの人気商品でした。

サイズ展開の一例は以下の通りです。

型式線径(mm)有効長(mm)トンネル間口(mm)トンネル高さ(mm)
12型4.01,6501,200500
18型4.52,4651,800700
20N型4.52,4452,000800
25N型5.02,9252,500850

※N型は立ち上がり部(200mm)を持つ形状で、より高さを確保できます。

ワンタッチトンネル
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トンネルメッシュ / レインカット(片山鉄建)

既存の果樹棚の上に載せて固定する、アーチ型の鋼線網タイプです。

トンネルメッシュは亜鉛メッキ鋼線を網目状に溶接したもので、軽量(2〜3kg)で設置が簡単です。風の抵抗を受けにくい構造のため、台風時も被覆ビニールを外すだけで支柱本体は残せるのが大きな強みです。こちらは上で上げたワンタッチトンネルとほぼ同じ作りです。

レインカットは果房の位置を地上1〜1.2mと低く設定する新しいシステムです。作業姿勢が楽になるうえ、太陽光が果房に当たりやすく、糖度の高い高品質な収穫につながります。腰をかがめる作業が減るので、農家さんからは「体への負担が全然違う」と評判でした。ワイナリーとの共同開発のようで、ワイン向けぶどうには最適になっています。

トンネルメッシュ
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ぶどうの雨除け棚セット

葡萄は雨や湿度を嫌うため、葡萄生産農家さんは必ず雨よけをします。当製品は、そのノウハウから生まれた、家庭菜園に使えるキット製品です。片山鉄建のレインカットに似た製品となりますが、安価で小規模で設置できるので人気がありました。

ぶどうの雨除け棚セット
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ぶどうの雨除けの正しいやり方(設置・撤去・管理)

雨除けは「ただ張ればいい」のではなく、設置と撤去のタイミング、そして夏場の高温対策まで含めて管理することで、はじめて効果を最大化できます。

理由は、時期を誤ると病害は防げても別の障害(高温による着色不良や日焼け)を招いてしまうからです。実際にいつ張っていつ外すのかという疑問を持った方はたくさんいらっしゃいました。

ビニールを張る時期・外す時期

被覆ビニールの展張(張る作業)は、萌芽・展葉前の4月中旬が目安です。感染リスクが高まる梅雨前までに、必ず設置を完了させておく必要があります。

撤去(外す作業)は一般的に梅雨明けの7月下旬で、袋かけ作業と同時に行うのが効率的です。

梅雨明け後の高温障害に注意

夏場にビニールを被せたままにすると、内部が高温になり次のような障害が起こります。

  • 着色不良:夜間の高温でアントシアニン(色素)の合成が阻害される
  • 日焼け(縮果症):強い直射日光と高温で果実が水分を失いしぼむ

対策としては、梅雨明け後は速やかにビニールを外すか、遮光率20〜30%の白い寒冷紗(かんれいしゃ=日よけ用の薄い布)を併用して、直射日光と熱を和らげます。

台風対策と資材の長持ちさせ方

風によるビニールのバタつきは、ハウスバンド(マイカ線)や専用クリップでしっかり固定して抑えます。

そして意外と見落とされがちなのが、ビニールの保管方法です。外す際は骨組みに載せた状態で水をかけ、スポンジで汚れを落としてから完全に乾燥させ、畳んで保管します。湿ったまま畳んでビニール同士が融着し、翌年使えなくなって買い直す農家さんが毎年いました。これは本当にもったいないので注意してください。

点検は年に最低2回、特に台風前にはシートの破れや留め具の緩みを必ず確認し、必要に応じて修理・交換しましょう。

ぶどうの雨除けを自作(DIY)する方法

なんでもDIYで作ってしまう農家さんも多い中、これも例によって作っている方もいらっしゃいます。ぶどうの雨除けは市販の専用資材だけでなく、ホームセンターで手に入る材料を使って自作することも十分可能だからです。

なぜなら雨除けの基本構造は「棚の上にアーチを作ってビニールを張る」というシンプルなものだからです。家庭菜園や小規模な栽培であれば、コストを抑えて自作するメリットは大きいと言えます。

自作に使える主な材料

自作の骨組みに使える材料には、それぞれ特徴があります。

  • 単管パイプ:強度と耐久性が極めて高く、本格的な棚作りに最適。長く使うならこれが一番
  • 園芸用樹脂パイプ:錆びにくく軽量。専用ジョイントで組み立てが簡単。女性や初心者向け
  • 竹・木材:安価で加工しやすいが、耐久性に劣るため定期的な更新が必要

竹や木材は初期費用は安いものの、数年で組み直しが必要になるため、トータルコストで考えると割高になるケースもあります。

自作するときの注意点

自作する場合でも、アーチの高さや間口は市販のワンタッチトンネル支柱の仕様(高さ500〜850mm、間口1,200〜2,500mm程度)を参考にすると失敗しにくくなります。

また、自作だからこそ固定が甘くなりがちです。風でビニールが飛ばされないよう、ハウスバンドや専用クリップでの固定はしっかり行いましょう。

まとめ

ぶどうの雨除けについて、必要性からおすすめ資材、やり方、自作まで解説してきました。最後に要点を振り返ります。

本日のまとめ

  • ぶどうは雨に弱く、晩腐病・べと病などの雨媒介性病害や裂果を防ぐために雨除けは不可欠
  • 「簡易雨よけ+袋かけ」の併用で晩腐病の防除価は98%に達する
  • おすすめ資材は手軽な「ワンタッチトンネル支柱」、台風に強い「トンネルメッシュ」、省力・高品質の「レインカット」
  • 設置は4月中旬、撤去は梅雨明けの7月下旬。梅雨明け後は高温障害対策を忘れずに
  • 自作するなら単管パイプ(本格派)か樹脂パイプ(手軽)がおすすめ

ぶどうの雨除けは、病害から作物を守る「防壁」であると同時に、高品質な果実を育てる「環境制御装置」でもあります。まずはご自身の栽培規模と予算に合わせて、市販資材を導入するか自作するかを検討してみてください。今シーズンの雨対策が、来年の収穫の質を大きく左右します。早めの準備で、腐敗のない美しいぶどうを実らせましょう。

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